退職前の会社で企業型DC(企業型確定拠出年金)に入っていたなら、退職金や給与の振込みとは別に、年金資産の行き先を確認しましょう。原則として、加入者資格を失った月の翌月から6か月以内に移換の手続きが必要です。
何もしないまま期限を過ぎると、資産が国民年金基金連合会へ「自動移換」され、運用されない一方で手数料がかかる場合があります。まず確認するのは商品選びではなく、資格喪失日・現在の資産の管理先・受付期限の3点です。
この記事は2026年10月29日時点の公式案内を確認し、主に退職後、企業型DCの資産をまだ移していない方に向けて整理しています。個別の加入・受給条件は、勤務先や運営管理機関に確認してください。
「退職から半年」ではなく、資格喪失日から期限を確認
6か月の起算は、企業型DCの加入者資格喪失日が属する月の翌月1日です。退職による資格喪失日は通常、退職日の翌日ですが、手元の通知にある日付を確認してください。最終出勤日や書類が届いた日から数えるのではありません。三菱UFJ銀行の自動移換・起算日の案内で確認できます。
たとえば、退職日が2026年9月30日、資格喪失日が10月1日という仮定なら、起算は11月1日。6か月の期間は2027年4月末までとなります。ただし、これは期間の数え方の例であり、4月末に書類を投函すれば間に合うという意味ではありません。
三菱UFJ銀行の書類手続きでは、期限内に「不備のない状態で受付」される必要があります。資料請求・発送・受付・資産の移換完了は別の段階です。自分の移換先に、いつまでに何が完了していればよいか、補正が必要な場合はどうなるかを確認しましょう。同行の移換手続きFAQにある受付条件を、すべての機関の締切として一律には扱わないでください。
今の状況ごとに、最初の確認先を分ける
| 今の状況 | 最初に確認する相手 | 確かめる内容 |
|---|---|---|
| 退職時のDC書類が見つからない | 前の勤務先の人事・DC担当部署 | 資格喪失日、運営管理機関・記録管理先、退職後の案内の再確認 |
| 転職先で企業型DCに加入する | 転職先のDC担当部署 | 加入日、前職資産の受入れ手続き、必要な番号・書類 |
| 転職先に企業型DCがない/まだ就職先が決まっていない | 移換を扱うiDeCoの運営管理機関など | 利用できる移換先、掛金を出さず運用のみとする方法、費用 |
| 転職先に確定給付企業年金(DB)がある | 転職先の年金担当部署 | 規約上、DC資産を受け入れられるか |
| 自動移換の通知が来た/期限を過ぎたかもしれない | 通知記載の特定運営管理機関、希望する移換先 | 現在の管理状況と、これから必要な移換手続き |
移換先は一律にiDeCoだけではありません。転職先の企業型DCや、条件を満たす確定給付企業年金、通算企業年金などへの移換が可能な場合もあります。会社に制度があることと、自分がその制度へ移せることは分けて確認します。国民年金基金連合会の転職・退職時の案内を入口に、受入条件を担当窓口へ尋ねてください。
iDeCoに資産を移す場合も、毎月の掛金を必ず新たに出すわけではありません。掛金を拠出する「加入者」と、掛金を出さず既存資産の運用を行う「運用指図者」は異なります。加入資格や費用を確認し、移換の確認と家計から追加拠出する判断を切り離しましょう。iDeCo公式FAQにも自動移換後の選択肢が示されています。
放置して自動移換されると、何が変わる?
自動移換では資産が現金化され、無利息の現金として管理されます。元の商品を保有したまま運用が続くわけではありません。また、自動移換中の期間は、老齢給付金の受給要件に関わる「通算加入者等期間」に入りません。それまでの期間によっては、受給できる年齢が遅くなることがあります。
これは「過去の加入記録がすべて消える」「全員の受給年齢が同じだけ遅れる」という意味ではありません。受給可能年齢に達していても、自動移換のままでは老齢給付金を請求できないため、移換と受給の手続きを確認する必要があります。特定運営管理機関の公式案内に、資産・記録の取扱いが掲載されています。
手数料は2026年4月に改定。古い金額と混同しない
| 項目 | 確認できた金額・条件 |
|---|---|
| 自動移換されるとき | 合計4,348円(3,300円+1,048円) |
| 自動移換中の管理手数料 | 月98円(58円+40円)。自動移換された月の4か月後から負担 |
| 自動移換後、他制度へ資産を移すとき | 特定運営管理機関の手数料550円。移換先で別途費用がかかる場合あり |
金額は税込みです。管理手数料は毎月口座から引き落とす方式ではなく、年度分を3月末にまとめ、4月に年金資産から徴収する案内です。2025年10月1日付のお知らせでは、管理手数料は2026年4月分から、移換手数料は同年4月以降の他制度への移換受付分から変更されています。国民年金基金連合会の手数料改定のお知らせ(PDF)を参照してください。
たとえば、管理手数料がかかる月が12か月あり、その間の月額が98円なら、管理手数料だけで98円×12か月=1,176円です。これは自動移換直後から最初の1年間に必ずかかる総額ではなく、課金対象月12か月分の仮計算です。初回や移換時の費用は別で、資産0円の場合は負担がない扱いです。
問い合わせ前に、1枚にまとめておくメモ
前の会社名/退職日/DCの資格喪失日/加入者番号など通知にある番号/現在の住所・氏名/転職先の制度名と加入日/すでに持っているiDeCoの有無/書類の提出日・受付結果をまとめます。資格喪失日が不明なら推測で埋めず、「未確認」として問い合わせて構いません。
窓口では「私の移換期限はいつですか」「現在どこで資産を管理していますか」「受付に不備はありますか」「移換後はどの通知・画面で確認できますか」と具体的に聞くと、次の行動を決めやすくなります。提出済みでも、追加書類の連絡や完了通知まで確認しましょう。番号や本人確認書類は、公式窓口の指定する方法で扱ってください。
よくある疑問:自動で移るなら、待ってもよい?
他の企業型DCやiDeCoへの加入等が確認され、本人の申出なしで資産が移換される場合もあります。ただし、すべての人にその処理が行われるとは限りません。「転職したから会社が全部済ませたはず」と決めず、前後の管理先で受付状況を確認するのが確実です。
すでに6か月を過ぎたら、資産は取り戻せない?
期限超過だけで資産が没収されるわけではありません。自動移換後も、現在の状況に応じた移換の手続きを確認できます。一方、退職したという理由だけで自由に現金を引き出せる制度でもありません。脱退一時金は法律上の要件を満たす場合に限られます。特定運営管理機関のFAQから、移換・受給それぞれの確認先を探してください。
通知がない場合も、住所変更や書類の紛失を含めて前の勤務先・管理機関へ確認しましょう。退職後は年金資産とは別に給与の税務書類も必要になることがあります。該当する方は、前職の源泉徴収票がない場合の確認順も参考にしてください。

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