NISAは、一定の条件で投資の利益にかかる日本の税金が非課税になる制度です。利益や元本を保証する商品ではありません。口座を作るか、何を買うか、いくら使うかは、制度のメリットだけでなく家計や目的に合わせて考えます。
一般に「新NISA」と呼ばれるのは、2024年から拡充・恒久化されたNISAです。この記事は2026年10月28日時点の18歳以上向け制度を中心に、枠の仕組み、非課税の条件、利用前の確認手順を説明します。特定の商品や売買を勧めるものではありません。
NISAで非課税になるもの、ならないもの
通常、上場株式等の売却益などには20.315%の税金がかかります。NISA口座で対象商品を取得し、制度の条件を満たす場合、その売却益や配当・分配金にかかる日本の税金が非課税になります。
仮に売却益が10万円で、20.315%の税率だけを考えると、課税口座では税額20,315円、税引き後の利益79,685円です。NISAの非課税対象なら、その利益に対する日本の税額は0円となります。手数料や外国の税金等を考えない比較例であり、利益が出るという予測ではありません。
非課税でも、購入・保有・売却時の手数料や投資信託の信託報酬などがなくなるわけではありません。また、損をした場合に国が補償する制度でもありません。基本は金融庁「NISAを知る」で確認できます。
利用できる人と、2つの投資枠
2026年の制度では、口座を開設する年の1月1日現在で18歳以上の、日本国内に住む人などが対象です。誕生日を迎えた日から直ちに対象になる、という年齢判定ではありません。NISA口座は各年につき1人1口座で、その年に買付けを行う金融機関は一つです。金融機関を変更した場合、以前の商品が旧金融機関に残ることはあります。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
| 主な対象 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託等 | 上場株式・投資信託等(除外商品あり) |
| 利用方法 | 積立による買付け | 一括・積立による買付けが可能 |
| 非課税保有期間 | 無期限 | 無期限 |
両方を併用でき、年間では合計360万円までです。ただし、両枠を別々の金融機関で同時に利用することはできません。成長投資枠は、名前に「成長」とあるから高い収益が保証される枠ではなく、つみたて投資枠より必ず優れているわけでもありません。
非課税保有限度額は取得金額ベースで合計1,800万円、そのうち成長投資枠で使えるのは1,200万円までです。1,800万円に1,200万円を上乗せして、合計3,000万円使えるという意味ではありません。つみたて投資枠だけで1,800万円まで使うことも可能です。
これらは投資すべき目標額ではなく、制度上の上限です。年間枠の未使用分は翌年に繰り越せませんが、枠を余らせないために生活費を投資へ回す必要はありません。
なお、金融庁は2027年1月からつみたて投資枠の年齢要件が撤廃され、0〜17歳も利用できるようになると案内しています。未成年者には別の限度額や払出し条件があるため、この成人向けの表をそのまま当てはめないでください。利用時点の金融庁の制度案内を確認しましょう。
売却と枠の再利用は「取得金額」と「翌年以降」が基本
新しいNISAで保有していた商品を売却すると、その商品の取得金額に相当する非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。例えば100万円で購入した商品を120万円で売却した場合、再利用できる総枠は100万円分です。売却額120万円分ではありません。
また、売却してもその年の年間投資枠は復活しません。翌年に総枠が空いても、買付けはその年の年間投資枠の範囲内です。「売って買い直せば、同じ年に何度でも上限なく使える」わけではない点を押さえましょう。
2023年までの一般NISA・つみたてNISAで買った商品は、新制度の1,800万円とは別に管理され、旧制度の非課税期間が適用されます。旧制度の商品を新制度へそのまま移すことはできません。詳細は金融庁「よくある質問」で確認できます。
見落としやすい税金の注意点
① NISAの損失は、課税口座の利益と相殺できません。例えばNISAで10万円損をし、特定口座で10万円の利益が出ても、NISAの損失を使って課税口座の利益をゼロにする損益通算はできません。損失の繰越控除もできません。
② 国内上場株式等の配当は、受取方法にも条件があります。国内上場株式、ETF、REITの配当・分配金をNISAで非課税にするには、証券会社の口座で受け取る「株式数比例配分方式」を選ぶ必要があります。銀行口座で直接受け取る方法などでは課税される場合があるため、買付け口座だけでなく配当の受取設定も確認してください。
この受取方式の注意は、一般的な非上場の公募株式投資信託の分配金とは区別します。自分の商品にどの条件が当てはまるか不明なら、金融機関に商品名と受取設定を伝えて確認しましょう。根拠:国税庁「No.1535 NISA制度」、日本証券業協会「NISAのよくある質問」。
③ 外国の税金までゼロになるとは限りません。外国株式等の配当には現地の税金がかかることがあります。NISA口座の外国株式配当にかかる現地税は、外国税額控除の対象外です。外国株式の配当に関する取扱いは、東海東京証券のNISA外国株式FAQも参照できます。国や商品ごとの税務は、取扱金融機関や税務の専門家へ確認してください。
投資信託なら、必ず十分に分散されるわけではない
投資信託は投資家から集めた資金をまとめ、運用方針に沿って株式・債券などへ投資する仕組みです。投資先は商品によって異なり、「多くの企業に投資する商品」とは限りません。特定の国や業種へ集中するものもあります。
複数の投資信託を持っていても、上位の投資先が重なっていれば、見た目ほど分散されていない場合があります。商品名や本数だけではなく、投資対象・地域・資産の種類・構成比を確認しましょう。
インデックスファンドも「特定の指数への連動」を目指す商品です。指数によって対象や偏りが違い、どれも世界全体に分散されるわけではありません。NISA対象という表示も、安全性や将来の利益の認定ではありません。長期・積立・分散を行っても元本割れの可能性は残ります。出典:金融庁「資産形成の基本」。
始めるかを決める前に確認する手順
- 家計と目的を整理する:日々の生活費、近いうちに使うお金、急な支出への備えを確認し、値下がりしても困らない範囲を考えます。今は投資しない判断も可能です。
- 金融機関を比較する:銀行・証券会社などで対象商品の取扱いが異なります。商品、費用、積立方法、サポート、セキュリティを比較します。ネットなら必ず最安とは限りません。
- 既存のNISA口座を確認する:すでに別の金融機関に口座がないか確認し、重複申込みを避けます。金融機関の変更には手続きや時期の条件があります。
- 口座開設に必要な書類をそろえる:本人確認書類やマイナンバー確認書類など、金融機関の案内に従います。税務署の確認等があるため、利用開始日を自己判断しません。
- 商品と注文条件を確認する:目論見書で投資対象、リスク、費用、換金条件を読み、口座区分・投資枠・金額・積立日・配当受取設定を確認します。
積立額に万人共通の正解はありません。最低購入額も金融機関や商品で異なります。「毎月1万円なら安心」などと一律に決めず、収入や支出の変化があれば設定を見直します。口座を開設しただけで購入を急ぐ必要もありません。
まとめ:非課税の枠より、使う条件を理解する
まず確認したいのは、年間枠と総枠、利益の非課税条件、損失を通算できないこと、商品のリスクです。税金を抑えられる可能性と、投資で利益が出るかは別の話です。制度の上限まで使うことではなく、自分の家計と目的に合うかを基準に考えましょう。
制度・税務の説明は2026年10月28日時点の確認に基づきます。2027年以降の変更や個別の税務判断は、金融庁・国税庁の最新資料および取扱金融機関等で確認してください。

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