国民年金の免除・納付猶予・未納は何が違う?年金額と後から払う期限を確認

国民年金 免除・猶予・未納。資格期間と年金額の違い。書類とカレンダー、台帳、小さなぱーそんのイラスト。

国民年金の保険料を払うのが難しいとき、「免除」「納付猶予」「未納」は同じ扱いではありません。申請して免除や猶予が承認された期間と、手続きをせず未納になった期間では、年金を受け取るための期間や、将来の年金額への反映が違います。

この記事では、所得などを理由とする申請免除・納付猶予を中心に、学生納付特例との違い、後から払う期限を整理します。制度の対象か、どの区分で承認されるかは個別の審査によるため、表だけで受給や免除を確定することはできません。

目次

まず、国民年金のどの区分に入っているか確認する

主な対象は、自分で国民年金保険料を納める第1号被保険者です。例えば、日本国内に住む20歳以上60歳未満の自営業者や学生、退職後に第1号へ切り替わった人などが該当します。厚生年金に加入する第2号や、その被扶養配偶者である第3号とは区分が異なります。日本年金機構「第1号被保険者」で、加入区分を先に確認しましょう。

任意加入している人は、ここで扱う免除・納付猶予を申請できません。また、法定免除や産前産後の免除は別制度です。2026年10月には国民年金保険料の育児免除制度も始まっています。これらを、以下の所得審査による免除の表と混同しないでください。育児免除など、保険料を納付したものとして年金額に反映される制度もあります。

免除・納付猶予・学生納付特例は、誰の所得を見るかが違う

免除は保険料の全額または一部の納付を免除する制度、納付猶予は納付を猶予する制度です。いずれも申請と承認が必要です。「収入が減った」「学生になった」という事情だけで、自動的に未納ではなくなるわけではありません。

今の状況・確認したい制度主な所得審査の対象相談前に確かめる点
保険料の納付が難しく、申請免除を確認したい本人・配偶者・世帯主それぞれ全額・4分の3・半額・4分の1の4区分。学生納付特例の対象者は学生の制度を確認する。
20歳以上50歳未満で、学生でない人の納付猶予本人・配偶者。世帯主の所得は審査しない本人に収入が少なくても、配偶者の所得は確認が必要。
対象校に在学する学生の学生納付特例本人のみ。家族の所得は問わない対象となる学校・課程、在学期間、本人の所得を確認する。
すでに未納の月がある申請する制度・対象期間により異なる未納は免除や猶予という制度ではない。月ごとの記録と申請可能期限を窓口で確認する。

配偶者は別世帯でも審査の対象です。免除と猶予の違いは日本年金機構の申請案内、学生については学生納付特例の案内を参照しています。学生納付特例は、一般の「50歳未満の納付猶予」とは別に確認する制度です。

審査に使うのは、原則として申請する年度に対応する過去の所得です。例えば、2026年7月~2027年6月分の免除・猶予では2025年中の所得を見ます。現在の月収や手取りだけで判断せず、申請期間と審査対象年の対応表を確認してください。

全額免除と納付猶予は、通常、各審査対象者の所得が「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」以下であることが所得基準です。ただし、一部免除は区分ごとに基準が異なり、各種控除や障害者・寡婦・ひとり親などの扱いもあります。これは給与の額面年収の上限をそのまま示す式ではありません。公式の所得基準と自分の申告状況を照らし合わせて確認します。

失業・倒産・廃業などが確認できる場合には、失業等をした人の前年所得にかかわらず審査する特例があります。ただし、配偶者や世帯主など、ほかの審査対象者の条件までなくなるわけではありません。「退職したから必ず全額免除」とは決めず、離職票などの必要書類も窓口へ確認しましょう。

受給資格の「期間」と、老齢基礎年金の「金額」を分ける

老齢基礎年金は、納付済期間や免除期間などを合わせた受給資格期間が原則10年以上あることが必要です。一方、実際の年金額は納付月数などで計算します。受給資格の期間に入ることと、全額納めた場合と同じ年金額になることは別です。日本年金機構の老齢基礎年金の説明も、この2つを分けています。

次の金額反映の割合は、2009年4月分以降の対象月で、追納をしていない場合の比較です。「その月の保険料を全額納付した場合」を1としています。本人の将来の年金総額が、この割合になるという意味ではありません。

その月の記録・条件老齢基礎年金の受給資格期間その月に対応する年金額への反映
全額納付入る1(全額納付として計算)
全額免除入る1/2
4分の3免除+残り4分の1を納付入る5/8
半額免除+残り半額を納付入る3/4
4分の1免除+残り4分の3を納付入る7/8
納付猶予入る追納しない限り反映なし
学生納付特例入る追納しない限り反映なし
未納(免除等の扱いになっていない月)入らない反映なし

2009年3月分までの免除期間は割合が異なります。全額免除は1/3、4分の3免除は1/2、半額免除は2/3、4分の1免除は5/6です。一部免除は、いずれも残りの保険料を納付していることが前提です。古い記録は最近の割合に置き換えず、公式の計算方法で確認してください。

一部免除は「残りを払わなくてよい」ではない

一部免除が承認されても、減額後の保険料を納めなければ、一部免除が無効となり未納期間になります。例えば半額免除なら、免除されなかった半額の納付が必要です。承認通知を受け取ったら、区分だけでなく、残りの納付額と納付期限を確認します。

「残りも10年以内に追納すればよい」という理解も違います。追納制度の案内では、一部免除期間は、もともと納付すべき残りの保険料が納付されていなければ追納できないとされています。残りの支払いも難しい場合は、通知をそのままにせず年金事務所へ相談してください。

「後から手続きできる期間」は3種類ある

1.免除・猶予等をさかのぼって申請する期間

納付期限から2年を経過していない期間について、さかのぼって申請できます。一般に「申請時点から2年1か月前まで」と案内されますが、各月の具体的な期限を確認することが必要です。窓口・郵送では、期限が休日に当たると直前の営業日までに申請書の受理が必要になる場合もあります。月別の申請期限表を確認し、期限ぎりぎりまで待たないようにしましょう。

2.免除等を受けていない未納保険料を通常納付する期間

毎月の国民年金保険料の納付期限は原則、対象月の翌月末日で、休日等の場合は翌営業日です。期限を過ぎても、通常は納付期限から2年以内なら納付できます。これは、免除等を受けた期間を10年以内に追納する制度とは別です。「2年は払わなくてよい」という意味でもありません。

3.承認された免除・猶予等の期間を追納する期間

追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内にある免除等の期間です。免除・猶予の対象となった期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料に加算額が上乗せされます。学生納付特例も同様です。

申込みから新たに10年間待てる制度ではありません。期限直前の申込みでは間に合わない場合があるため、対象月、加算額を含む金額、実際の納付期限を先に確認します。老齢基礎年金を受け取ることができる人は追納できないなどの条件も、公式の追納案内で確認してください。追納などで実際に保険料を払った後の税の扱いは、国民年金保険料の控除を、払った人・支払年・前納の年配分で確認する方法に整理しています。免除・猶予の承認と、支払った保険料の所得控除は別の手続きです。

申請を遅らせると、障害・遺族年金にも影響することがある

保険料の問題は老後の金額だけではありません。障害基礎年金では、原則として初診日の前日を基準に、初診月の前々月までの保険料納付状況などを確認します。遺族基礎年金も、国民年金加入中の死亡などの場合は死亡日の前日時点の納付要件があります。障害の状態や対象となる遺族の範囲など、別の受給条件もあります。

日本年金機構の免除・猶予案内では、事故や病気の発生後にさかのぼって免除等を申請しても、障害基礎年金の保険料納付要件には算入されないと注意しています。「過去分を申請できるから、何か起きてから手続きすればよい」とは考えないでください。一方、未納月があるだけで必ず不支給とも限りません。加入歴・初診日等による扱いがあるため、自分で受給できないと決めず年金事務所へ相談します。

仮例:親と同居する32歳と、12か月の記録

以下は制度の違いを説明する仮の例で、特定の人の認定結果や体験談ではありません。

学生でない32歳の第1号被保険者が、世帯主である親と同居しているとします。申請免除では親の所得も審査対象ですが、納付猶予では世帯主である親の所得は問いません。本人や配偶者の所得などを確認する必要はあるものの、「親に所得があるから相談しても無駄」とは限らない例です。

別の例として、2009年4月以降の12か月がすべて全額免除で、追納していない場合、その12か月は受給資格期間に入り、年金額の計算では全額納付6か月分相当の反映になります。同じ12か月が納付猶予なら、受給資格期間には入りますが、追納しない限りその12か月分は年金額に反映されません。どちらも単なる未納とは異なります。

次にすること:対象月をメモして、窓口で確認する

まず「何年何月分か」「未納・免除・猶予のどの記録か」「申請済みなら結果は届いているか」を整理します。そのうえで、住所地の市区町村の国民年金担当窓口か年金事務所へ相談します。免除・納付猶予の申請案内から、マイナポータルでの電子申請も確認できます。

基礎年金番号が分かる書類や本人確認書類、失業等の事情がある場合の証明書類など、必要なものは申請方法と事情で異なります。学生は学生証・在学証明書等の確認も必要です。税の申告がされていない場合の手続きも含め、公式案内に沿って準備してください。

免除・猶予の年度は7月~翌年6月、学生納付特例は4月~翌年3月です。原則として毎年度の申請が必要で、全額免除・納付猶予には継続審査の仕組みがありますが、失業等による特例では翌年度も申請が必要です。承認後も「対象月・残りの納付・次の手続き」の3点を確認しましょう。

収入の変動で支払い計画も見直したい場合は、収入が毎月違うときの家計予算も参考になります。ただし、家計簿を整えることと年金の申請は別です。支払いが難しいと分かった段階で、期限と利用できる制度を確認することから始めてください。

情報確認日:2026年10月28日。日本年金機構の公式情報を参照しています。この記事は制度の一般的な整理であり、個別の免除承認や年金の受給を保証するものではありません。

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