NISAで買う投資信託は、「人気だから」「名前を聞いたことがあるから」だけでは選べません。先に、何に投資する商品か、値下がりをどこまで受け入れられるか、いつ使うお金かを確認しましょう。
ここで扱う3本は、人気順位や万人向けの推奨リストではなく、条件を比べるための候補です。いずれも株式を主な投資対象とするため、預貯金の代わりになる安全商品ではありません。3本とも買う必要もありません。
生活費、急な出費への備え、近いうちに使うお金は投資資金と分けます。家計に余裕がなければ、商品を決める前に貯蓄を優先する選択もあります。
NISAは非課税の制度。元本を守る仕組みではない
NISAは、制度の要件を満たす投資の利益等を非課税にする制度です。NISA口座で買っても、投資信託の価格が下がれば損失が生じます。また、NISA口座の売却損は、課税口座の利益等と損益通算できず、繰越控除もできません。出典:国税庁「NISA制度」。
「NISA対象」「長期向け」「インデックス型」は、将来の利益や元本の保証を意味しません。購入時には、利用する金融機関での取扱いと、使う投資枠の対象であるかも確認してください。
1.eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
三菱UFJアセットマネジメントが運用する、日本を含む先進国・新興国の株式を対象とするファンドです。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指し、原則として為替ヘッジを行いません。出典:三菱UFJ銀行の商品情報。
検討する際は、「日本も新興国も含めて株式に投資したいか」を考えます。ただし、全世界という名前でも、国ごとに同じ割合で投資するわけではなく、世界中のすべての企業を保有するわけでもありません。
国数・銘柄数・地域別割合は変わるため、固定の数字だけで広さを判断せず、最新の月次レポートで基準日と組入比率を確認します。「この1本なら家計全体の資産配分まで完了する」という意味でもありません。
2.eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
三菱UFJアセットマネジメントが運用し、S&P500指数(配当込み、円換算ベース)への連動を目指すファンドです。主に同指数に採用された米国の株式へ投資し、原則として為替ヘッジを行いません。出典:三菱UFJ銀行の商品情報。
全世界株式型との主な違いは、投資先を米国株式に絞ることです。「米国全体のあらゆる企業を買う商品」ではありません。米国企業が海外で事業をしていても、全世界の株式に分けて投資することと同じではありません。
米国株式の比重を意図的に高めたいか、その集中を理解できるかが判断材料になります。過去の好成績や有名企業の名前だけで、今後も全世界株式型より高い利益が出るとは判断できません。組入企業は変わるため、最新の月次レポートで確認しましょう。
3.楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド
旧記事で「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」と記していた商品の現在の名称です。楽天投信投資顧問が運用し、日本を含む先進国・新興国の株式に投資します。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(円換算ベース)への連動を目指し、原則として為替ヘッジを行いません。出典:運用会社の商品ページ・交付目論見書。
eMAXIS Slimの全世界株式型と比べる候補ですが、同じ全世界株式という方向性でも、運用会社、費用、実際の運用結果、販売会社での取扱いなどは別に確認します。名前が似ている「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」など、別の商品と取り違えないことも大切です。
比較画面では、愛称だけで検索を終えず、正式名称と運用会社を一致させてから目論見書を開きましょう。ポイント還元やキャンペーンだけで決めず、投資対象と費用を先に比べます。
3本に分けて買えば、分散は十分?
本数が増えても、投資先が増えるとは限りません。2本の全世界株式型は似た範囲の株式を対象にしています。全世界株式型には米国株も含まれるため、S&P500型を追加すると、米国株への比重を高める組合せになり得ます。これは投資対象から考えられる重複であり、3本の正確な現在の重複率を示したものではありません。
例えば、全世界株式型の米国比率を仮に60%と置き、それと米国株式型を半分ずつ保有すると、全体の米国比率は概算で「50%×60%+50%×100%=80%」です。これは説明用の架空比率で、各商品の現在の割合ではありません。
「世界と米国を半々で持つから、地域も半々」とはならないことが分かります。追加購入の前に、すでに持つ商品も含めて地域・資産の中身を確認してください。3本とも株式中心なので、株式市場全体が下がる場面では一緒に値下がりする可能性があります。
コストは、信託報酬の数字だけで比べない
信託報酬は保有中に信託財産から差し引かれる費用ですが、それだけが負担のすべてではありません。売買委託手数料や監査費用などもあります。率は改定される場合があるため、本記事では最新料率のランキングを固定掲載せず、次の順番で確認します。
- 交付目論見書の使用開始日を確認し、「手続・手数料等」「ファンドの費用」などの欄を開く。
- 購入時・換金時の費用と、保有中の信託報酬を分ける。年率・税込かどうか、「以内」「以下」などの条件もそろえる。
- 「その他の費用」と、総経費率や運用報告書の費用明細を確認する。過去の集計期間に基づく値を、将来の固定費用と思わない。
- 同じ期間の指数とファンドの動きを比べ、費用だけでなく指数とのずれも確認する。
費用差の大きさをつかむ架空例として、残高100万円が1年間変わらないと仮定すると、年率0.01パーセントポイントの差は約100円です。実際は残高や保有日数で変わり、他の費用もあります。わずかな料率差を理由に、目的と違う投資対象を選ばないようにしましょう。
商品ごとの最新条件は、上の公式ページから目論見書へ進み、購入する販売会社の説明も確認してください。楽天の費用・その他費用の記載例は、公式交付目論見書で確認できます。
為替と値下がりを、金額で考えておく
3本とも原則として為替ヘッジをしないため、外国株式部分は株価だけでなく為替の影響も受けます。現地の株価が変わらなくても、円高になると円換算の評価額を押し下げる要因になります。「円で買う投資信託だから為替リスクはない」という意味ではありません。
投資額100万円が仮に30%下がれば、評価額は70万円です。これは予測や最大損失ではありませんが、30万円減っても生活費や予定した支出に困らないかを考える材料になります。もっと大きな下落もあり得ます。長期保有や積立でも損失はなくなりません。
購入前に、ここまで説明できるか確認する
- 全世界株式と米国株式のどちらを選ぶか、その理由を説明できる。
- 今ある保有商品との重複を確認した。
- 最新の目論見書で、投資対象・リスク・費用・換金の条件を確認した。
- 生活費と使う時期の近いお金を除き、投資額や積立額を決めた。
- 値下がりしても生活に支障が出ないか、家計が変わったらどう見直すか考えた。
答えが曖昧なら、その場で買わずに確認を続けて構いません。この3本以外も選択肢に含め、株式中心の商品が自分の目的に合うかから考えましょう。「迷ったらこれ」と決めるより、中身を理解して選べることが大切です。
参考情報確認:2026年10月28日12:31(日本時間)。商品内容・費用・取扱いは変更される場合があります。本記事は比較のための一般情報であり、特定商品が全員に適することや、将来の運用成果を保証するものではありません。

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